デビュー25周年記念アリーナツアー『25th Anniversary MISIA THE GREAT HOPE』。2022年10月から約5か月にわたり9都市・全23公演が行われ、約20万人を動員したこのツアーのファイナルとなる有明アリーナ公演を完全パッケージしたライヴ映像作品(Blu-ray&DVD)がリリースされる。この作品の映像ディレクターをつとめたSam氏のコメントとともに、本作『25th Anniversary MISIA THE GREAT HOPE』の魅力と見どころを紐解いてみたい。
デビュー曲「つつみ込むように・・・」から最新曲「希望のうた」「おはようユニバース」までを網羅したセットリスト、そして、各楽曲の世界観とリンクした演出やステージング。ライヴ映像作品『25th Anniversary MISIA THE GREAT HOPE』は、MISIAの25年のキャリア全体を体感できる作品だ。
Sam「デビューから現在までの幅広い楽曲によって構成されたライヴで、各パートによって見せ方や演出も大きく変わる。そのバリエーションをしっかり見せつつ、全体像が伝わるように意識しながら撮影、編集を行いました。イーグルに乗って登場するオープニングもダイナミックだし、花道を含めてステージ全体を使って表現していて。映像ですべてを伝えるのはとても難しかったですが、演出の意図やメッセージもそうですが、すべてを感じ取ってもらいたいな、と。本当に素晴らしいステージだったし、“これに負けない映像を作らなくちゃいけない”というプレッシャーもありましたね」
オープニングは「Everything」「忘れない日々」「INTO THE LIGHT」などをシームレスにつなぐリミックス・メドレー。ダンスミュージックを基調にしたアレンジ、ライヴの開幕を華やかに彩るパフォーマンスが鮮烈な印象を残すコーナーだ。
Sam「ダンスミュージックのサウンドやライティング、ダンサーのみなさんのパフォーマンスを含めて、ディスコ感を意識しながら撮影していました。ドラァグクイーンのみなさんの衣装はディテールまですごく凝っていて。そういう細かい部分を見てもらえるのも映像作品ならではだと思いますね」
「CASSA LATTE」では、世界的なダンサーとして知られる菅原小春、辻本知彦が登場。そして「Higher Love」では黒い衣装に身を包んだダンサーとともに大らかな多幸感を生み出す。
Sam「『CASSA LATTE』は菅原さん、辻本さんとの絡みも大きな見どころ。MISIAさんを含めた3人の世界観をしっかり見せたいと思っていました。『Higher Love』は、MISIAさんがMCで仰っていた“最幸”を実感できる曲だと思っていて。天にまで昇るようなダンサーのみなさんの表現もそうだし、パフォーマンス全体を感じてもらえたらなと」
「君の願いが世界を輝かす」(東京ディズニーシー®「ビリーヴ!〜シー・オブ・ドリームス〜」日本語版テーマソング)からはじまるライヴ中盤では、「Everything」「逢いたくていま」「明日へ」などバラードの名曲が続く。強い感情を込めながら楽曲を歌い上げるMISIAの表情、息遣いまでも感じられる臨場感も、本作の大きな見どころだ。
Sam「『君の願いが世界を輝かす』はディズニーの世界観に合わせたキラキラしたステージングが印象的ですよね。『Everything』『逢いたくていま』『明日へ』は、“MISIAさんの歌をじっくり聴く”というところがポイント。ブレスの取り方や息遣いによってグッと引き込まれるのもMISIAさんのボーカルの魅力だと思うので、そこはしっかり感じてもらえるように構成しました」
『25th Anniversary MISIA THE GREAT HOPE』の最初のクライマックスとも言えるのが、「希望のうた」。矢野顕子が書き下ろしたこの曲は、“どんな状況であっても、希望を持って生きていこう”というメッセージを込めた楽曲だ。
Sam「このライヴのなかでもキーポイントになる楽曲だと思います。MISIAさんの歌はもちろん、ダンサーのみなさんのパフォーマンスからも平和のメッセージが込められていて。映像化する際も、その演出の意図はしっかり伝えたいと思っていました。『希望のうた』を歌う前のMCもカットせず入れています。僕自身もこのライヴに対するメッセージを強く感じる場面だったので、これはすべて入れるべきだなと」
ここからライヴは後半へ。まずは「MAWARE MAWARE」「あなたにスマイル:)」など観客との一体感がリアルに感じられるシーンが続く。
「この場面のポイントは、やはりお客さんとの一体感ですね。歌詞のメッセージ性もそうだし、少しずつコロナの状況が落ち着いてきて、以前のようなライヴの雰囲気が戻ってきて。映像としても“一緒に楽しんでいる”という様子が伝わるようにしたかったんですよね」
「おはようユニバース」からはじまるアンコールの映像も見どころたっぷり。「つつみ込むように・・・」「アイノカタチ」という代表曲でライヴはエンディングを迎える。
Sam「『おはようユニバース』では車いすパフォーマーの方、ドラァグクイーンの方が登場。いろんな個性の人たちがいて、みんなで喜びや楽しさを共有している姿を届けたいと思っていました。『アイノカタチ』も強いメッセージがある楽曲。愛、平和を発信しつつ、リスナーのみなさんに寄り添うという思いがしっかり見える映像をイメージしていましたね」
Blu-ray特典には横浜アリーナ公演を収録。有明公演とセットリストは同じだが、撮影、編集のアプローチを変えることで、また違った魅力を持った映像作品となっている。
Sam「有明公演の映像は、ステージの上のMISIAさんの表情、ステージングの素晴らしさをしっかり見せることに重点を置いていたんです。MISIAさんはパフォーマンスは手の先まで意識が行き届いているし、細かいところも含めてすべてを感じてもらいたくて。横浜公演の映像に関しては、ステージの全体像がわかるように構成しています。ハイアングルで捉えたときのステージの全貌、ライティングや演出の意図が見えるようにしたかったといいますか。あとはカラーグレーディング(色彩調整)でも差別化しているので、ぜひ両方見ていただきたいですね」
「圧巻の歌唱力とパフォーマンスはもちろん、楽曲に込めた明確なメッセージ性を届けるステージングなど、ライヴを観るたびに「すごい!」と実感しますね。撮影を担当したカメラマンも“素晴らしい。次回もぜひ撮りたい”と言うんですよ」とMISIAのライヴの魅力を語るSam氏。ライヴ映像作品『25th Anniversary MISIA THE GREAT HOPE』で、彼女の最新ステージをぜひ追体験してほしい。